VSWR調整時の注意点 |
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2020年1月23日記載 ■はじめに 八木アンテナ製作の最終段階では、DE(放射器)の形状(長さや曲げ角度)を変化させ、目的周波数のVSWRが最小となるように調整を行います。しかし、目的周波数のVSWR値だけに着目しただけではシミュレーション通りのアンテナ特性が得られない場合があります。その原因の一つを、2つのモデルを例にシミュレーションで比較し、考察します。 ■方法 シミュレータは、MMANA Ver.1.77 【モデル1】 ベースモデルは、GTV70-7n Ver.2 【モデル2】 モデル1に対して、Ref(反射器)とDx(導波器)の全長を-8mm短縮。共振周波数はモデル1と同じになるようにDEを調整。 ■計算結果 以下グラフではモデル1を「Dx」、モデル2を「Dx -8mm」と表記。 【VSWR】 モデル2(Dx -8mm)ではDEの長さと曲げ角度を調整してモデル1(Dx)と同じ共振周波数(431MHz)に合わせました。 【Gain】 モデル1(Dx)に対して、エレメントを短くしたモデル2(Dx -8mm)ではゲインカーブが高い方にシフトしてます。結果、431MHzでは-0.65dBのゲイン低下となっています。 ■まとめ 431MHzのポイントでみると、モデル1とモデル2もどちらもVSWR値は十分小さくなっています。これはDEの長さや曲げ角度によるインピーダンス調整の許容範囲が広いためエレメント長の違いによるインピーダンスの変化を相殺できているからだと思われます。一方、Gainをみるとモデル2で大きな低下が見られます。RefとDxの長さを変えるとGain特性が周波数方向にシフトするのが原因です。 以上から、特定周波数だけのVSWR値の確認だけではシミュレーション通りのアンテナ特性を得るためには不十分であることがわかりました。今回の例ではRefやDxの長さに着目しましたが、これはブーム補正値の選び方に直結する内容なので特に注意が必要です。 ■考察 VSWRの周波数特性についてはモデル1とモデル2とでは大きく異なっていることから、DEだけでなくRefとDxの長さにも依存していると考えています。このことからVSWRの調整段階では周波数特性まで合致させることができればRefとDxのブーム補正値の正当性などの長さに関する懸念が払拭されるのではと思います。 |
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