MMANAと4NEC2の計算結果比較

2020年1月12日記載

■はじめに
アンテナシミュレータを利用して八木アンテナを設計する場合、同じ寸法を入力しても使用するシミュレータによって計算結果が異なります。今回は代表的なアンテナシミュレータであるMMANAと4NEC2へ同じ寸法データを入力し、VSWRとゲインの周波数特性を比較します。

■条件
MMANAは、Ver1.77。条件は自由空間、自動均等分割(DM2=40)です。
4NEC2は、V5.8.16。条件は自由空間、ラジエータ以外のセグメント分割数は25です。
なお寸法データには、MMANAで共振周波数を432.5MHzに合わせ込んだYBN70-5mを使います。

■計算結果
最初にVSWR特性を示します。

VSWRのカーブの形は同じですが、最下点の周波数(共振周波数)は4NEC2はMMANAに対して「-5MHz」シフトしています。

次にゲイン特性を示します。

最大ゲインの周波数に着目すると、4NEC2はMMANAに対して「-5MHz」シフトしています。

ここで注目したいのはVSWRもゲインもどちらも同じだけシフトしている点です。つまりMMANAと4NEC2のどちらを使ってもVSWRとゲインの相対関係は変わっていません。

■まとめ
4NEC2に入力する寸法データのうち全てのエレメント長に対して「一律に」短くすることで、MMANAと4NEC2の計算結果が一致することは確認できています。MMANAと4NEC2はどちらもモーメント法によりエレメントを細かく分割して計算していますが、計算誤差の蓄積の仕方や近似式など細かい点で差異があるようです。また同じシミュレータを使っても分割数などの条件によって結果が異なります。
シミュレータや条件により実物のエレメント長への補正量は異なりますが、実物とシミュレーションのVSWRの周波数特性を合致させることで、ゲインの周波数特性も同時に合致させることができると考えます。

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