富士山五合目植物観察会

◆データ
御中道/山梨県南都留郡鳴沢村
◆登山日
2019年7月20日 雨
◆アプローチ
富士山科学研究所=富士スバルライン=奥庭駐車場
◆歩行ルート
奥庭駐車場-御中道-五合目駐車場
◆メンバー
観察会参加者

角田さんからのお誘いで、「富士山五合目植物観察会」に参加しました。生憎の悪天候ではありましたが、富士山という特別な環境下で生きる植物について研究者視点でわかりやすく解説していただき大変勉強になりました。

午前9時。山梨県富士山科学研究所内で開講式を行った後、バスで出発地点であるスバルラインの奥庭駐車場へ。天気は雨、雨具を身につけ御中道へ。


コメツガ。ツガ属の常緑針葉樹。シラビソとともに富士山の亜高山帯を代表する極相種。


カラマツ。カラマツ属の落葉針葉樹。明るい環境で急速に生育する陽樹。暗い環境は不得意。


シラビソの傘型樹形。シラビソは暗い環境でも生育できる陰樹。光を効率よく得るために、暗いところでは葉を上に展開するよりも水平に展開している。


こちらはオオシラビソの傘型樹形。


凍裂。幹の中の水分が凍り、膨張して割れたもの。五合目の自然の厳しさと、生命力を感じる。


溶岩のくぼみや隙間などのセーフサイトで生きる植物たち。富士山のように環境が均一で種間の競争が弱い場合には個体間の距離の分布はランダムになるとのこと。


イタドリ。厳しい環境下で他の植物や自分の子孫の生残を助けるナースプランツのひとつ。深く長い根を持っており、地中深いところの水分を利用することができるとのこと。長い根は根にたくさんの養分を蓄えることができるたけでなく雪崩などで簡単に流されないというメリットもある。


オンタデ。こちらもナースプランツ。太い直根だけでなく地面付近にも地下茎を広げている。かわいそうにこの株はシカに食べられてしまっている。


斜面に広がるオンタデとミネヤナギ。特に北斜面ではミネヤナギがナースプラントとして重要な役割をはたしているらしい。


ミネヤナギは後から入ってきた植物によって枯れる運命。しかし種子は綿毛によって遠くまで飛んでいくことができる。


ミヤマハンノキ。根粒菌との共生で根に窒素を固定することで栄養分の少ないスコリア荒原でも生きていくことができる植物。葉の中の窒素を回収する必要がなく、紅葉せずに緑のまま葉を落とすとのこと。


イワオウギ。これも窒素を固定する植物。


ハクサンシャクナゲ。ここでは開花をはじめたばかり。


ハクサンシャクナゲの葉やけ。特徴的なのは葉脈部分だけが黒くなっていること。冬の間は葉脈にそって葉を巻くため、光が当たる葉脈部分だけがダメージを受ける。


スコリア荒原のミヤマハンショウズル。つる性の植物だが、ここではそんな風にはみえない。


コケモモは大きな群落を形成していた。


シロバナヘビイチゴも見事。


五合目に到着。御中道での観察はここまで。


五合目は悪天候だが観光客でにぎわっていた。五合目からはバスで研究所へ戻り、閉講式を行った。


ありがとうございました。

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